サードインパクト
誰一人として望まぬ結果となってしまった
人はLCLに集められ
融けていった
そして世界は
また
動き出した
誰も望まなかった世界が
動き出した、
・・・ポチャン
・・・・ポチャン
・・ポチャン
・・ポチャン
・・・ポチャン
・・・・ポチャン
・・ポチャン
・・・ポチャン
・・・・ポチャン
・・・ポチャン
・・・・ポチャン
・・ポチャン
・・・ポチャン
・・・・ポチャン
・・・ポチャン
・・・・ポチャン
・・ポチャン ザヴァァ!!・・・・
・・・ポチャン
・・・・ポチャン
ザバァッ!!バシャバシャ!!!
「げほっ!!!げほげほっ!!うぇ!」
突然水中から現れた男は苦しそうに咳き込み、目を擦りながら周りを見渡した
「・・・・・けほっ、はぁはぁ、一体・・何が何が起こったんだよ!」
無意味に声を荒げ、周りを見て無意味な怒りをこぼした
「はぁはぁ」
男はまだ荒い息をなだめようともせずに拳を握り込んで何もないはずの景色を睨む、
しかし、疲労も限界だ、男は力なくその場にたおれ込む、
なぜか先ほど男の浮かんできた所は水溜まりのようなものだった、しかし、なぜこんな所から現れたのか男は考える気力もなかった、
「はぁ・・・マヤちゃん・・・」
「マヤちゃん・・」
男の頭の中に一人の女性が浮かんだ
男が想いつづけた女性、
あの惨劇だ、最後のほうに何が起こったか解らないが、きっと無事ではすまないだろう、
「守れなかった・・・守れなかったんだ・おれは」
惨劇
特務機関NERVに戦略自衛隊が攻撃を仕掛けた、
戦時の受けた指令、
「ネルフ施設の確保」
それは確実に実行された
すべてのNERV職員は無抵抗の者さえも虐殺され
多くは戦う意志さえないのに背中を撃たれた
NERVは蹂躪された
しかし、その時何かが起こった
サードインパクトだ
初号機は量産型とともに空へ上っていったのを男は覚えていた、
男も詳しく何が起こったのかはよく覚えていない、
まず何か、恐ろしいものを感じ、その後無限の安心のなかに居た気がする
漠然とした感覚だった、しかし、恐ろしい寒気を感じ、鳥肌が立つ
男はそれを今は無意味なことと無理に考え、思考の片隅においやった、
NERVの訓練の成果であろうか、この状況でも男の思考は正常な様だ、
ゆっくりと周りを見渡した
ここはどこなのだろう
建造物という建造物はなぎ倒され、危ういバランスの上で支え合っている
そしてここがジオフロントの中ではなく、元第三新東京市と呼ばれた所であろうと感じた、なぜだ?コンソールに向かっていたはず・・。
上を見やると太陽がいつものように輝いている
もしこれで建造物が普通なら、いつもの日、日常と同じ様だった
しかし、町は破壊され尽くされ、ビルはドミノの様に倒れ掛かっているものも多かった
地面は液体に覆われ、信号機や電柱は立っていなかった、
「・・・・」
男は声が出なかった
よく生きていられたな
そう思った
その時
男は気づいた
自分以外
人が居ない
さっきから見渡しても人の影一つない、
「・・!」
男は恐れた、
もしかして、自分一人が!?
男は走り出した、とりあえず、近くの建造物の中を覗き込んで回った
その中に一人の女性の死体があった
「!!ぅええ!!うえぇっ!!」
思わず吐いた
死体を見ても吐かない様、訓練は受けていたが、役に立たなかった
胃酸しかでない、喉が焼ける
苦しい、だが安心した
死体でも、ここにはヒトが居る
つまり死ねば仲間が居るという事実
男は嘔吐感を感じながらも、吐きつづけた
安心しながら
日が傾き始めた、
男は必至に自分の精神が崩れないことを祈った
だが、それは難しい、人は人が居ないと
自分をとどめられない
男は崩れかけたコンビニの中から
ミネラルウォータを一本とり
半分ぐらい飲んだ後、寝転んだ
数日が経過した。
また夜が明けた、
今日もよく晴れているらしい、
昨日と違って地面が見えていた、
一面を覆い尽くしていたLCLはどこかへ流れていったようだ
男は漠然と周りを見回して、さし当たって
歩き出した、
歩きにくい、
瓦礫が積み重なっている、
人の死体が多い、
灼熱の中、
不思議と腐敗臭はない、
ただ、歩いた、
車を乗り越え
人をまたぎ
ビルに上った、
その時、ビルの上から何かが見えた、
「・・・・人か?・・人なのか?」
何かが動いている、
男は大急ぎでビルを駆け下り、
その動いている者に近づいた
「おおい!!、ちょっと!」
「!!!!」
呼ばれた者はこちらを振り替えった、
二人は見詰め合って、緊張した顔が緩んでいった、
「ま、マコト?マコトじゃないか!?」
「シゲルぅ!!!!生きてたのか!?」
二人は背中を叩き合って安堵した、少し泣いていた、
日向はたき火を絶やさぬように薪を加えつづけていた、二人の表情は決して明るい物じゃなかったが、二人とも安心していた、二人は惨劇の時の話をしていた、話している最中は終始青葉は顔を地面に向けていたが、
「そうか、じゃあ、やっぱりサードインパクトは起こったのか?」
「ああ、間違いないだろうな」
「戦自は、そんときに一緒に吹っ飛んじまったみたいだな」
「で、これが結果ってワケか、」
「・・・・・」
「いや、別にお前や俺が直接やったって訳でもないんだから、まあ、深く考えるのはよそうぜ、なっちまったもんは仕方ない、それより明日からどうする?」
「やっぱり他の生きている人間を探すのが第一じゃないのか?第一他に人居るのか?」
「いや、おまえが思っているほど悲惨な状態じゃないぞ、実際は、結構生存者はいるみたいだぞ」
「え?」
青葉は顔を上げて日向の顔をみた、
「いや、実は俺は民間人と思われる人に会ったんだがな、その人たちは”東のほうに人がたくさん居る”っていってるんだ、」
日向は小枝で東と思しき方角をさす、
「ふーん、そうなのか、じゃあ、明日早速東へ向かおうぜ、」
「そうだな、他の仲間にも会えるかもしれないしな」
仲間ときいたとき、青葉はまた地面のほうを向いてしまった、
「・・・・・マヤ」
「!、そうか、マヤちゃんか、・・・・生きてるといいな、俺達みたいに」
「ああ・・・」
「さあ、早く寝ようぜ、明日は日の出の方角へ行くんだから」
日向は適当な理由をつけて早く寝る事を促し、崩れた瓦礫の中から見つけたカーテンを体に巻き眠り始めた、青葉は日向の寝息が聞こえるとともに深い眠りへと落ちていった
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