別れ、そして再開 第四話
投稿日 6月18日(金)02時07分 投稿者 ZiM


「おはよう・・・ございます」

「ああ、おはようルリちゃん」

わたしが病室に入ったとき、アキトさんは立ち上がって外の景色をみていました、

「立ち上がっていいんですか?」

「うん、少しくらい立ち上がれって、看護婦の人にいわれちゃってね」

アキトさんはすこしはずかしそうに頭を掻く、

「ふふ」

わたしは思いがけず笑ってアキトさんをみていた、





「・・・・・・・」

アキトさんはトイレにいって、またベッドにもどった、

さっきから二人とも言葉を発していない、

わたしは昨日メールにかかれていたことをきかれるのが恐いのだろうか、

なんとなく、手に汗をかいている気がする、

なんで壁をみてるんだろう、

・・・いえ、アキトさんをみれないんだろう、

「ルリちゃん」

「・・・はい」

ついに沈黙を破ってアキトさんが話し始めた、

「・・・・昨日、メールを送ったんだけど・・・」

「はい、読みました」

「・・・・なんでメグミさんはあんなことをいってたんだかわかる?」

「・・・・」

「まったく、メグミさんも、人が悪いよねえ?俺のことをルリちゃんが知ってるわけないじゃないか」

そういってアキトさんは笑いました、

でも、わたしはその笑いを無表情に見つづけていた、

アキトさんは笑うのをやめ、わたしに向き合いました。

「・・・・・本当に、なんか知ってるの?」

「・・・・・」

「無理には聞かないけど・・・」

アキトさんは気まずそうに掛け布団を整えました、

私は迷っています、はなすべきなのか?、

それともアキトさんに、また嘘をついて新しい人生をもってもらったほうがいいのか・・・。

「でもさ」

アキトさんはつぶやきました

「なんか変なんだ、なにが変なのか考えたんだけど」

私はひざに置いた手を見つめています、

「・・・・なんでかなあ?この間の戦争・・・エステに載ってるときの記憶が・・・」

私は知らず知らずひざを押さえる手に力が入っていました、

「・・・なんかどっかずれている気がするんだ・・・でもそんな事ないはずなんだけど・・・」

「・・・・」

「寝過ぎて寝ぼけてるだけなのかもしれないよね、ははっ」

「・・・かも・・・しれませんね・・・」

「そうだよねえ、2年以上も寝てたわけだし・・・寝ぼけが一週間以上続いてもおかしくないよね」

「そうですね」

「はは、俺もへんな夢でも見たのかな?ははは」

その言葉を聞いて私は心臓をつかまれた気分になりました、

が、たわいもない一言だったらしく、アキトさんは笑っています。

・・・なんで私がやったわけじゃないのに、アキトさんの記憶操作についてこんなに隠し通すんだろう・・・

・・・・教えてしまったほうがいいのでは・・・

・・・・・・・

「ああ、ゴメンネ、ルリちゃん、変な話ばっかりしちゃって、」

「いえ、いいんです」

「後数日で退院だし、そろそろこの後の身の振り方を考えないとなあ」

アキトさんの言葉には幾分か期待がこもっているようでした、

戦争ばっかりから、いきなり平和な時代にほおりこまれるとはいえ、

それでもアキトさんは平和を望んでいたようですから、それも当然なのかもしれません。

・・・・やっぱりここで不用意な一言でアキトさんを悩ませる事はない・・・

私はこの一時しのぎではないのか?とも思える考えしか選べませんでした。




そして次の日、アキトさんは昏睡に陥ったそうです、





集中治療室の静寂の中、

アキトさんは眠っていました、


「もしかするとまた、長く眠りつづける事になるかもしれません」

「・・・・」

「それ相応の覚悟を・・・いえ、貴方はアキトさんとは単なる友人でしたね」

「・・・いえ、家族同然でした。一時期」

「・・・・お察しします」


私が集中治療室の前までくるとメグミさんがいました。

「ルリちゃん・・・」

「メグミさん」

「また眠っちゃったんだって?」

「かもしれない、といっていました」

「そう・・・」

メグミさんはペタンと椅子に座るとほうけたようになっています

「・・・・話したの?」

「いえ、結局話せませんでした」

「そう・・・」

「そうね、アキトくんも思い出さないほうがいいかもしれない・・・」

「・・・・」

「何しろ事故でユリカさんを失ったんだから」

そうじゃない、

そうじゃない、

そうじゃない、

ユリカさんは事故として処理されました、

人の引き渡し、しかも交渉の道具として渡された事実を公表できる訳はありませんでした、

私も最初は事故だと知らされました、

新しい試験戦艦とともに亡くなられたと・・・

みんな本当を知らない

・・・・なんで私だけ知ってしまったんだろう、

しかもアキトさんの記憶操作についてもショックにたえられないといけないなんていう理由が嘘だって事も。

「このまままた眠り込んじゃうのかな・・・」

アキトさんはその両方知らない、嘘ですら、本人なのに、一番知るべき人なのに、

私はおもわずメグミさんに話しそうになりました。

でも、そんな事は言えません、

・・・なんで言えないんだろう・・・

・・・なんで・・・

その時集中治療室の中から医師がでてきました

「また覚醒しました」

「本当ですか!?起きたんですか!?」

「ええ、ですが・・・」

「?」

「ユリカ、そういってまた眠り込んでしまいました」

私とメグミさんはなにもしゃべれませんでした、

「心当たり、ありますか?ユリカという単語、多分人名でしょうが・・・」

「・・・・・」

「まあ、そう深く考えないでください、私の聞き違いかもしれませんし、」

「はい・・・」

「アキトさんの退院はもうすこし伸びることになります、では」

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続く
意外とつづいてます(笑)このままいけば・・・
とおもいきや、ちょっといきづまってます、ヤバイ(笑)
あんまり反響ありませんが(爆笑)かいてみたいことなんで、つづけたいです


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